2002年1月

◆アルバム編◆

TVアニメ『ヒカルの碁』

ヒカルの碁 音楽撰 遥かなる高みへ

  (avex AVCA-14272 02.01.23 \2,913抜)

 メロディーを心に響かす劇伴を作らせたら右に出るものはいないであろう若草恵さんの音楽を使った人気の囲碁アニメ『ヒカルの碁』のサントラ盤にょ。
 アニメの劇伴には作品によって様々な要素が要求されるから、メロディーの良い曲ばかり書いていてこと足れりというものでもないから、若草さんの音楽を上手く起用して使ってる作品というのも多くはないけど、こと心情ドラマを盛り上げるという点に置いては若草さんの音楽が他に似合う場所がなかろうにょ。
 この『ヒカルの碁』という作品は、そういう意味においては若草さんの音楽とは絶妙的な組み合わせだろうにょ。神の一手という究極の高みに挑むキャラクターたちの心情を盛り上げる音楽は、この上も無い聴き物にょ。
 劇中でも効果的に使われてるけど「交わる道」や「神の一手」あたりの曲が作品を味わう上での欠かせないアイテムにょ。
 もっとも、若草さんの得意そうでない方面の音楽は、どこかで聴いたような音楽が露骨に流用されてたりするけど、それは愛嬌かにょ。

 主題歌はTVサイズのみで、EDは旧EDだけというあたり、昨今の標準ではあるけど、このデフレ時代に3000円クラスの商品を出し続けるのなら、もう少し買得感のあるような商品にしてもバチが当たらないのではないかにょ。
 いまどき珍しい黒のCDケースだけど、CDのレーベルも真っ黒だから、黒の碁石のつもりなんだろうにょ。次は白の碁石かにょ?

★★★

 

声優/金月真美

金月真美 Love Clue

  (キング KICA-1253 01.12.29 \2,913抜)

 この人はよく知らんのだけど、ま、どんなのかなと思って聴いてみた1枚にょ。
 ま、そこらによくあるような声優人気だけに乗っかって出してるだけの、聴くに耐えないCDとかいうわけでもないけど、さりとて継続して聴きたくなるだけの魅力があるわけでもないにょ。粗製濫造商品に埋もれたこの業界の中では平均的な商品ということかにょ。
 それでもバックの伴奏は割とよさげなんだけど、肝心のボーカルがどの曲も口先だけで歌ってるって感じで、あんまし実感のこもった歌に聞こえないのが最大の欠点かにょ。これじゃ『プリンセスナイン』の主題歌の方が遥かによく出来てたにょ。

★★

 

クラシック/現代音楽

日本管弦楽名曲集

  (ナクソス 8.555071J 01.11.-- \1,000抜)

 普段、一般にはあまり聴かれることの無い日本人作曲家の作品を海外盤の逆輸入による廉価版シリーズで出していこうという奇特な企画《日本作曲家選輯》の第1弾にょ。
 収録曲は以下の通りにょ。
外山 雄三 管弦楽のためのラプソディ
近衛 秀麿 越天楽
伊福部 昭 日本狂詩曲
芥川也寸志 交響管弦楽のための音楽
小山 清茂 管弦楽のための木挽歌
吉松 隆 朱鷺によせる哀歌

 海外でも取り上げられることの多い日本人ならではの管弦楽曲を集めたって感じで、まずは入門編ってところにょ。
 『管弦楽のためのラプソディ』は「あんたがたどこさ」や「ソーラン節」や「炭坑節」などの日本の民謡をモチーフにした曲で、日本人には馴染みやすい感じにょ。『越天楽』は雅楽の曲をオーケストラ用に再構成したものだけど、かなかな興味深いところにょ。
 メインの目当ては伊福部先生の『日本狂詩曲』だけど、伊福部先生の曲の中では比較的CD化されてる数が多いものだから、とくに目当たらしさは無いにょ。それより芥川也寸志の『交響管弦楽のための音楽』が、この人の初期の作品だけにいかにも伊福部先生の弟子って感じの作風がもろに感じられるのが一興にょ。

 クラシックの廉価版CDは昨今では珍しくも何ともないけど、それらは西洋の有名な音楽家の作品ばかりで、日本の作曲家の作品が取り上げられていることは無いにょ。そんな中でこうしたCDが出てきて気軽に聴けるようになるのはうれしいことだにょ。
 輸入盤ということで音源が気になるところだけど、演奏は東京都交響楽団でこのCDのために日本国内で録音されたものであり、品質的には何の心配も無いにょ。今後このシリーズが無事に続いてくれることを期待してるにょ。

★★★

 


◆シングル編◆

声優/野川さくら

野川さくら|ハートのパズル

  (ランティス LACM-4044 02.01.26 \1,143抜)

 影山ヒロノブプロデュースによるオリジナルシングルの第2弾にょ。
 さすがに前作の「そよ風のロンド」の頃から比べると色々と歌い込んで来てるから、それなりの上達が顕著に見られて、ちょっとばかし将来に期待したいかなと思えたりしてくるにょ。
 CDだと後から色々と音がいじれるおかげで生歌より安定して聴けるけど、根本的にこの人、この手の歌い上げるバラードには無理があるんじゃないかにょ。CDでも途中で声がひっくり返ってる部分があるにょ。
 C/Wの「white song」の方はアップテンポの曲で、キーにも無理がないので安心して聴けるにょ。でも、もうちょっと曲調に抑揚がつけられないのかにょ。フレーズ単位での強弱はあるんだけど曲全体としてフラットな感じで、薄っぺらな感じがしてくるにょ。
 ま、所詮はファン向けのコレクターアイテムだと開き直って考えれば平均点以上の出来で悪くは無いかにょ。

★★

 


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