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（９／１５） |
| ガミラス機の後続攻撃に備えてヤマトの周囲に展開していたブラックタイガー第１編隊は、瞬間物質移送装置で送り込まれて来た戦闘機編隊と死闘を繰り広げていた。 重爆撃機はドメルの狙い通り、ヤマトの正面に出現した。 「敵大型機、出現！ 前方至近距離です」 その姿は第１艦橋からも肉眼で確認できるほどの距離であった。 「艦首迎撃ミサイル、発射準備。早くしろ！」 古代が慌てて叫ぶ。 「ダメだ、間に合わない」 操縦桿を握る島の顔が悲痛に歪む。 重爆撃機を追ってワープ光線に飛び込んだ真田機は時間と空間を跳躍し、重爆撃機に続いてヤマト前方の通常空間に出現した。 「あのミサイルを射たせてはいかん。間に合ってくれ・・・」 真田はコスモゼロを駆って重爆撃機を追撃しようとした。ヤマトの間際にいる相手に向かって対空ミサイルを放つ。 真田機の攻撃は後方がほとんど無防備の重爆撃機を確実に捉えた。しかし、それよりも一瞬早く、重爆撃機からドリルミサイルが放たれていた。 「くそっ、間に合わなかったか！」 歯ぎしりする真田。 ドリルミサイルはまっすぐヤマトの波動砲発射口に突入していく。それを確認したハイデルンがにやりと笑った瞬間、重爆撃機は四散した。 激しい衝撃を伴って、ドリルミサイルはヤマトに激突した。しかし、予想された大規模な爆発は起きなかった。 「どうした、不発弾か？」 古代はおそるおそる外の様子を見た。しかし、第１艦橋からではミサイル激突部の状況は見えない。 そこに真田機からの通信が入った。 「艦長。敵ミサイルは波動砲発射口を塞いでいます。おそらく、敵はヤマトの波動砲を阻止するつもりでしょう。私とアナライザーはこれから艦内に戻って、敵ミサイルの除去作業に取りかかります」 「頼んだぞ、真田くん」 土方はミサイルの処置を真田に委ねた。 （これでしばらく波動砲は使えん・・・おそらく敵はこの機を捉えて総攻撃を仕掛けてくるだろう。航空機攻撃で来るか、それとも砲撃戦か・・・いずれにせよ、レーダーが使えなければ迎撃は困難だ） 土方がドメル艦隊の次の手を読もうとしたとき、ヤマトの艦体は異常な振動に揺れ始めた。 「どうした？ 波動エンジンのトラブルか？」 徳川機関長が機関室に呼びかけるが、エンジンは正常との答えが返っただけ。 「ミサイルだ。波動砲発射口に突入した敵ミサイルが回転運動を始めています！」 艦首付近でミサイルの監視をしていた工作班員が報告してきた。 「回転運動？」 不可解なように首をかしげる古代。 「あれはドリルミサイルだ。波動砲発射口を塞ぐだけではなく、ヤマトの艦内奥深くに侵入し、機関室ごとヤマトを爆破するつもりなのだ」 土方はそう言うと、どう対処すべきか、目を閉じて考えた。 （このまま手をこまねいていては、ドリルミサイルの爆発とともにヤマトは敗れる。ミサイルは真田に任せるとしても、その間に敵艦隊からの攻撃を受けると危険が大きい。ここはこちらから討って出るしか状況を打開できないのでは・・・） しばらく思考を巡らせた土方は活目して口を開いた。 「古代、待機中のブラックタイガー第２編隊を出撃させろ。瞬間物質移送装置を失った敵は艦載機部隊を通常空間を使って送り込んでくるはずだ。これを第２編隊で迎え撃つ。万が一、敵編隊と接触しなかった場合は、そのまま敵空母群への攻撃に向かわせろ」 「わかりました。ブラックタイガー第２編隊、敵攻撃機編隊の迎撃もしくは空母攻撃のために出撃させます」 古代は復唱すると、待機中の山本に命じてブラックタイガー第２編隊を発進させた。 |