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第３章 「出会い」 |
（４／５） |
| 「使用兵器は１２．８ミリ機銃の訓練用模擬ペイント弾。どちらかが先に相手に致命的な命中弾を与えた時点でゲームオーバーよ。このルールでいいわね」 格納デッキでコスモファルコンに乗り込む恭子に、相手は無線を通して呼びかける。 「問題無いわ。ＯＫよ」 「それより、機体は本当にそれでいいの？ ファルコンは所詮は汎用機、格闘戦用に特化されたイーグルより格闘戦能力のスペック値は落ちるわよ。スペアの機体はいくつもあるんだから･･････それに負けた時の言い訳にされたくないしね」 「言い訳になんかしないわ。乗り慣れた機体が一番なだけ･･････でも、勝手に艦載機を出していいの？」 少し頭が冷めてきた恭子は、軍の規律のことが頭を過ぎった。 「大丈夫よ。ブリッジには訓練って届けておいたから」 発進準備を整え、甲板上の発艦カタパルトにコスモファルコンを設置した恭子は隣のレーンに、パイロットスーツと同じショッキングピンクのコスモイーグルの機体を見た。 （いったい、どういう趣味してるのよ。あのパイロットは･･････） 両機とも準備が整い、前後して発艦した。そして、それが格闘戦の開始の合図だった。 ２人とも勝負はすぐに決すると思っていたのだが、意に反して互いに相手の機をターゲットとして捉えることが容易に出来なかった。 （さすがに大口を叩くだけのことはあるわ。訓練校時代のライバルだって、ここまであたしを苦しめたりなんかしなかったもの･･････） 恭子は自分を差し置いて、ヤマトへの臨時配属に採用されていった同期の訓練生、揚羽武のことを思い出した。 （格闘戦能力に劣るファルコンで、あたしのイーグルと互角に戦ってるなんて、条件が同じならあっちの方が上ってわけ？･･････） ２人は互いに相手の実力を認めないわけにはいかなかった。 |
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「あのピンクのじゃじゃ馬相手に１時間以上も持ちこたえてるとは、今年の新卒パイロットのナンバー１というのも嘘じゃないみたいね」 アスカのパイロットルームでは暇を持て余したパイロットたちが２人の対決の行方を話題にしていた。 「新卒パイロットと言っても、鳥見少尉も１対１の模擬格闘戦なら、このアスカでも毎回上位ランキングに入っているわ。それと互角に戦っているってことは、あの土方少尉も相当な実力の持ち主ね」 愛河中尉がそう言うと、他のパイロットが反論した。 「でも、鳥見少尉と互角ってことは、今年の新卒パイロットのナンバー１と言っても鳥見少尉並みの実力しかないってことじゃないの？」 「バカね。使用機種のハンデを考えてみなさい。どちらも最新型機とはいっても、片方は格闘専用機、もう一方は多目的汎用機。こと模擬格闘戦においては専用のコスモイーグルの方が遥かに有利よ。それを互角に戦えるなんて、並大抵の腕じゃ出来ないわ。同じ機体ならとっくに決着が付いてるはずよ」 「面白そうな話ね。あのピンクの跳ねっ返りより上手がいただなんて･･････」 そういいながらパイロットルームに入ってきた女性士官がいた。 「吉野少佐･･････」 二人の対決に話題を咲かせていたパイロットたちは、少し罰が悪そうな表情で話題を変えようとした。 「いいのよ、別に。訓練出撃の許可を出したのは私だもの。でも、そろそろタイムオーバーかしら。うちのおバカさんはいいけど、よそのパイロットに無茶をさせるわけにもいかないものね」 そういうと、吉野少佐と呼ばれた女性士官はインカムタイプの携帯通話機を取り出し、管制ブリッジをコールした。 「吉野です。訓練飛行中の２機につないで」 |