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第１章 「奇襲！アルファ星補給基地」 |
（２／５） |
| その頃、アルファ星第５惑星軌道上に航空戦艦アスカはいた。 「特別潜入班、土方少尉よりの報告です。ヤマトは予定通りに第４惑星の旧地球防衛軍基地に到着。護衛はボラー連邦標準型駆逐艦６隻。他の同行艦は無し」 通信オペレーターの佐保依子中尉が報告する。 「宇宙海賊の噂を知らんわけでも無いだろうに。舐められたものだな」 副長の大峰一郎少佐がそう言って笑うと、航路探査オペレーターを務める耳成美雪中尉が言う。 「これまで宇宙海賊が襲ったのは、輸送艦ばかりです。海賊が軍の戦闘艦相手に襲撃してくるなんて、誰も考えませんよ」 「それはそうだ」 アスカの第１艦橋が笑いに包まれた。 「噂の宇宙海賊もこれまでだ。今回の作戦が成功すれば、我々は正式に自由地球連邦独立政府を樹立し、その正規軍の一員となる。地球の独立のために諸君にはこれまで以上に頑張ってもらうことになるからな」 春日艦長はそう言って一同を奮起させた。そして、佐保中尉に指示を出す。 「特別潜入班に伝えろ。バースデープレゼントは予定通りに届けるが、パーティーが始まるまでは絶対に開けるなとな」 「了解。特別潜入班に連絡します」 佐保中尉は第４惑星にいる特別潜入班に対して、時空通信回線を開いた。 |
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「バースデープレゼントが届いたわよ」 夜のレストランで夕食のアルファ星名物・宇宙カマス鍋をつつきながら、恭子は言った。 「あたしの誕生日はまだ先なんだけどなぁ･･････」 「誰もあんたのバースデープレゼントなんて言ってないでしょ！」 恭子は春香をにらみながら、白く茹で上がった宇宙カマスの切り身を、大根おろし入りの酢橘ポン酢に浸して口に運ぶ。 「で、そのプレゼントはどこにあるの？」 「町外れの民間港に停泊してるジャンク船の中よ」 お玉で鍋の底の豆腐を掬い出した春香は、ポン酢の中でふうふうと冷ましながら箸で突ついているが、猫舌なのか、なかなか食べようとしない。 「ジャンク船って･･････まさか、あたしのイーグルをゴミの山の中に放り込んでるんじゃないでしょうね」 「知らないわよ。あたしのファルコンだって、どうなってるんだか･･････」 恭子は白菜を一掴みし、ポン酢に漬ける。宇宙カマスの出汁がしみていて、なかなかの味わいになっている。 「でも、パトリシア王女の警護役の恭子が、なんでこの任務に志願したの？」 ようやく豆腐を箸で切り分けた一つを口に運びながら、春香は訊ねた。 「あたしだって戦闘機パイロットよ。パトリシアには悪いけど、お姫様の警護役なんかやってるより、宇宙を飛んでいる方が性に合ってるの」 恭子はそう言いながら、宇宙カマスの切り身に箸をつけた。 「ま、恭子なんかを遊ばせておいたら、もったいないことは確かだけど･･････」 豆腐の二つ目の切れ端を口にしながら、春香は鍋の中を伺った。 「あっ、あたしの宇宙カマスが全然残ってないじゃん！」 「バカね。さっさと食べないからでしょ」 最後の宇宙カマスを噛み締めながら、恭子は言う。 「だって、あたし、生まれつき熱いものはたべられないのよ」 春香の容器にはまだ豆腐が半分残っている。 「それじゃあ、自分の生まれの不幸を呪いなさいよ」 恭子はあっさり過ぎるくらいに言い切った。 「いくら名物料理だからって、鍋物なんかにするんじゃなかった･･････」 春香は手元のグラスのワインを飲み干すと、おいおいと泣き始めた。 「あんたは泣き上戸かい」 悪びれもせずにそう言うと、恭子は鍋に残った野菜類を片付け始める。 「春香、ご飯はおじやにするけど、いいわね？」 平然とそう訊いてくる恭子に、春香はただ一言だけつぶやいた。 「鬼！」 |