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第１章 「奇襲！アルファ星補給基地」 |
（３／５） |
| 翌日、ボラー連邦軍補給基地・第７ドック。前日は基地の宿舎に宿泊した北野と太助は、並んで停泊中のヤマトの方に向かっていた。 「例え、最後は敵の戦利品として標的艦になるとしても、ヤマトは最後まで栄光の艦だと言われるよう、我々の手で万全を尽くして優秀の美を飾ろう」 訓練学校時代の同期の北野にそう言われて、太助は頷いた。しかし、太助の頭には、昨日、赤城に言われたことが強く残っていた。 「おい、北野。今のヤマトには戦闘班がいないが、自動操作で武器を使うことは出来ないのか？」 「波動カートリッジ弾や各種ミサイル、爆雷の類は弾薬のストックが無いから使えないが、メインエンジンのエネルギーを用いる主砲・副砲やパルスレーザー、それに波動砲なら構造上は使えるはずだ。だが、メインコンピューターの火器管制システムはボラー軍によってプロテクトが掛けられている。これを何とかしない限り、自動砲撃は不可能だ」 北野は太助の疑問に、まるで答えを用意していたかのように即座に答えた。 「無理な暴挙はやめておけ、徳川。例え標的艦になって宇宙のスクラップと化そうとも、オレたちの心の中にヤマトが残っている限り、ヤマトは死なん。ヤマトを覚えている者がいる限り、いつか地球人類は再び立ち上がることが出来る。それを信じるしかないよ」 北野とて自分の最初の配属先がヤマトであった以上、人並み以上にはヤマトに愛着を持っている。その上で考え抜いた答えがこうであった。太助もそのことはよくわかる。しかしながら、彼の感情は納得できなかった。 （おまえはオレたちほどはヤマトとの関わりが少ないから、冷静にそんなことを言ってられるんだ。オレにとっては、ヤマトは親父の死に場所だったんだ。この艦に乗れば、いつも父さんがここにいてオレを見守ってくれているように感じる。そのヤマトをみすみす標的艦なんかにして、惨めな最後を迎えさせられるものかよ･･････） 太助は亡き父、徳川彦左衛門のことを思い出しながら、そう感じていた。 ２人はヤマトに乗り込むと、それぞれの持ち場にわかれた。北野が第１艦橋にたどり着くと、航海班員の雷電五郎が巨体を揺らしてやってきた。 「航海長、ボラー連邦地球進駐軍第４移送艦隊司令部より指令です」 北野は雷電の手渡した指令書に目を通した。 「出港予定時間を早める？」 「さあ、理由はわかりませんが･･････」 雷電は首をかしげた。 「どのみち、オレたちには関係無いことさ。出港準備を急ぐぞ」 「は、はい」 北野にそう言われて、雷電は慌てて第２艦橋へ降りていった。 |
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「パーティーの時間は早まったようね」 早朝から基地を監視していた恭子は、予定より早くヤマトのドックが開いたのを確認すると、アスカに報告した。 「こりゃ、予定より１時間は早そうね。アスカからの作戦部隊が間に合いそうも無いけど、どうするの？」 「作戦は強行すると言ってきている。あたしたちだけで始めるしかないわね」 恭子はそう言いながら上着のジッパーを閉め、ヘルメットをかぶり、グローブをはめた。 「急ぐわよ！」 コスモバイクに跨りながら恭子は春香を急がせた。 「ちょっとぐらい待ちなさいよ」 ２人はコスモバイクを民間港に向けて走らせていく。コスモバイの法定速度を２００キロはオーバーしていたが、人口の少ないこの星にそれを取り締まる警察官もいない。 やがてケイローン・シティーはずれの民間港にたどり付いた恭子たちは、目的のジャンク船を見付けると、コスモバイクを乗り捨てた。そして船室でパイロットスーツに着替える。 春香のパイロットスーツは相変わらずド派手なショッキングピンク。あんたは風俗関係かい、と思う恭子のパイロットスーツも派手目のインディアンブルー。もっともこれは恭子の趣味というわけではなく、元いた護衛戦艦アリゾナ航空隊の制式カラーだった。恭子のパイロットスーツには今もアリゾナ航空隊のエンブレムと、地球連邦艦隊旗艦配属パイロットを示す徽章が付けられている。 着替え終わった２人は、船倉のハッチを開く。中から巨大なコンテナが民間港の地面に降ろされた。そのコンテナのインテリジェンス・ロックにパスワードを入力すると、二重底構造のコンテナの深層部分が露出し、中から２機の戦闘機が出現した。派手なショッキングピンクのコスモイーグルと、インディアンブルーのコスモファルコンである。 「さあ、パーティーの始まりよ！」 滑走路に進入した２機は、空港管制官の警告などお構いなしに、速やかに発進していく。民間港にいた他の宇宙船関係者たちは、ただ呆然と見送るだけだった。 |